最近は、スマートフォンやパソコンなどのデバイスが普及したことにより、音声コンテンツの配信が増え、耳から情報をインプットすることがより身近になりました。
そんな中「耳活」という言葉が注目されています。
耳活とは、オーディオブックやVoicy、ポッドキャストなど、音声で配信されるコンテンツを楽しく聴きながら、自分をアップデートする新しい学びのスタイルのことです。
「耳活」について詳しく知りたい!
今回は、耳活について、定義やメリットなどの基本情報から、効果的な方法やおすすめアプリまで紹介します。
筆者は「耳活」を取り入れたことで、毎日がより充実したものになったと感じているんだ。皆さんも耳活の世界を覗いてみてね!
耳活とは?
「耳活」とは、聴覚を活用した学習方法のことです。オーディオブックやVoicyなどに代表される音声学習アプリを活用して、音声による情報収集や学習を行うことを指します。
耳活には、一般的な学習法にはないさまざまなメリットがあることから、ここ数年、自己成長や語学学習の手法として注目を集めています。
実際に、Amazonから提供されている人気のオーディオブックサービス「Audible」の会員数は、2021年12月〜2022年10月までの間に32%も増加しました。
新しい学び方として「耳活」が今後さらに注目を集めることは、容易に想像できます。
参照:2022年「Audible」は、会員数32%増加。最も多くの方に楽しんでいただけた1年に。|PRTIMES
耳活のメリットは?
耳活には「目」により情報を得る従来の学習法にはない、さまざまなメリットがあります。
ここでは、耳活の代表的なメリットをご紹介しますので、参考にしてください。
ながら学習できる
通勤電車に乗っているときや家事をしているとき、お風呂に入っているときなど、私たちの生活の中に「目や手は使っているけれど、耳は空いている」という時間はたくさんあります。
そんな時間に「ながら学習」できるのは、耳活の大きなメリットの一つです。耳活を取り入れることで、時間の有効活用や効率的な学習が可能になるでしょう。
耳活で「ながら学習」することで、情報のインプット量を飛躍的にUPさせることも可能なんだ。
人によっては記憶が定着しやすい
従来の目を使う学習法よりも、耳活のほうが情報を覚えやすいと感じる人がいます。
私たちが物事を理解したり記憶したりする方法はいろいろあり、どの方法を得意とするかは人それぞれ違います。
例えば、英単語を暗記するときに「じっと見る」のが覚えやすいという人もいれば「声に出して読み上げる」のが良いという人もいるでしょう。
前者のようなタイプは「視覚優位者」、後者のようなタイプは「聴覚優位者」と呼ばれ、このうち耳活は聴覚優位者に合う学習法だといわれていています。
もしも、あなたが聴覚優位者である場合、耳活に取り組むことでこれまでより効率的に学習できる可能性があるのです。
参照:2021年4月号特集 タイプ別おすすめ勉強法|関塾タイムス
外国語学習に向いている
英語をはじめとする外国語学習には、本を読みながら耳でリスニングすることが効果的といわれています。
実際に、2018年に順天堂大学の磯崎アンナ氏が発表した論文や、2009年に台湾にある醍吾科技大学のアンナ・チンシャン・チャン氏が発表した論文などでも、そのことについて触れられています。
また、上記の効果についてはよくわからないという人でも、外国語を流暢に話せるようになるうえで、正しい発音を耳で聞いて学ぶのが大切ということは、なんとなくわかるはずです。
参照:うつ病や認知症にも?「オーディオブック」が脳機能にもたらす効果|PHPオンライン衆知
目や体が疲れない
耳活の場合、目や体が疲れるということがありません。
従来のように本を読んで情報をインプットするケースでは、当然ですが目を使う必要があります。長時間学習しているうちに、眼精疲労が起きてしまうこともあるでしょう。
また、記憶を定着させるために本にマーカーをひいたり、内容をノートに書き写したりする場合、基本的には机の前に座ることになります。長時間同じ姿勢で座っているうちに、首・肩・腰などを痛めてしまう人は少なくないでしょう。
耳活の場合、情報の取得や記憶に使うのは耳だけです。目を閉じて寝転がりながら学習することもできるため、目や体に負担をかけたくない人にもおすすめです。
持ち運びがラク
オーディオブックやポッドキャストなどの音声配信アプリは、スマートフォンやタブレットなど、持ち運びしやすいデバイスで聴くのが一般的です。
従来の学習法では何冊もの重いテキストを持ち運ばなければならないケースでも、耳活ならスマホ一台あれば事足りるわけです。
場所を選ばずに、ちょっとした隙間時間に学習したい人にも耳活はおすすめできます。
保存管理がラク
保存管理を心配せずに学習に取り組めるのも、耳活の大きな魅力の一つです。
耳活では、音声データをオンライン上で聴いたり、端末にダウンロードして聴くことになります。
そのため、従来の学習法のように本やテキストを本棚に置く必要がなく、膨大な情報を場所を取らずに保管できます。
また、本やテキストの場合、使っていくうちに劣化してボロボロになってしまうということがあるでしょう。音声データの場合は、こうした劣化についても心配する必要がありません。
耳活の注意点は?
ここまで、耳活のメリットを紹介してきましたが、耳活には注意点もあります。
注意点について理解し、対策していくことは、自分自身を守るためにも、周りの人に迷惑をかけないためにも大切です。
どんな注意点があるか、引き続きご覧ください。
外出時はイヤホンやヘッドホンで音漏れを防ぐ
電車を利用するときやカフェにいるときなど、外出先で耳活をする場合は、周りの人に迷惑をかけないようイヤホンやヘッドホンで音漏れを防ぎましょう。
イヤホンやヘッドホンを買うのにお金がかかることと、イヤホンやヘッドホンを外出先に持っていかなければならない煩わしさがあることは理解しておく必要があります。
耳活におすすめのイヤホン・ヘッドホンは以下の記事で紹介していますので、あわせて参考にしてみてください。
【耳活におすすめのイヤホン・ヘッドホン】
運転中は周囲の音が聞こえるようにしておく
車やバイク、自転車などの運転中に耳活を行う場合は、サイレンや警告、踏切の音など周囲の音も聞こえる状態にしておきましょう。
特に、イヤホンをつけて耳活をする場合は、要注意です。
道路交通法では、運転中のイヤホンの使用について明確に禁止していません。
しかし、神奈川県では2011年に道路交通法施行細則の改正が行われ「大音量で、又はイヤホン若しくはヘッドホンを使用して音楽等を聴く等安全な運転に必要な音又は声が聞こえない状態で自動車、原動機付自転車又は自転車を運転しないこと。」という条例が設けられました。
イヤホンの使用自体は禁止していませんが、イヤホンを使用することで、安全な運転に必要な周囲の音が聞こえなくなっている場合は、取り締まりの対象になるということです。
音量を下げる、片耳だけのイヤホンを使うなど、運転中の耳活は周囲の音がしっかりと聞こえる方法で安全に配慮して行いましょう。
参照:運転中にイヤホンを付けると違反になる?両耳・片耳でも違いがあるのか|グーネットマガジン
耳活におすすめのシチュエーションは?
これから耳活を始めようとする人にとって「どんなシチュエーションでできるのか?」は気になるポイントでしょう。
耳活は以下のようなシチュエーションで行うのがおすすめです。
- 通勤や通学しながら
- 家事をしながら
- 子供を寝かしつけながら
- ジョギングやウォーキングなどの運動をしながら
- ドライブしながら
- お風呂に入りながら
- 就寝前に布団に入ってから
- お店や病院などの順番を待ちながら
耳活は他の作業と並行して行ったり、移動中に行うのにぴったりです。従来の目や手を使う学習法では難しかった場所やシーンでも取り組めるため、時間の有効活用にもつながります。
効果的な耳活の方法は?
耳活を自己成長につなげるためには、いくつかのポイントがあります。これらのポイントを押さえて取り組むことで、より効果的な耳活ができるはずです。
どんなポイントがあるのか、引き続きご覧ください。
アウトプットする
耳活は、基本的には情報をインプットするものです。しかし、自己成長のためにはインプットと同時にアウトプットをすることも大切だといわれています。
1880年から1885年にかけて、ドイツの心理学者であるヘルマン・エビングハウスが、時間と記憶の相関関係について実験を行いました。その結果、耳から聞いた記憶のうち74%が1日後には忘れ去られてしまうことがわかったそうです。
耳活でインプットするだけでは、大部分の情報が短期間で忘れ去られてしまいます。そこで、大切になるのがアウトプットです。
耳活で得た情報や、その情報についての感想を、ノートにまとめる・SNSで発信する・人に教えるなどしてみましょう。インプットとアウトプットの比率は3:7が良いとされているので、多くの時間をアウトプットに当てるようにしてください。そうすることで、耳活で得た情報がしっかりと記憶され、効率良く自己成長につなげられるはずです。
参照:自己成長間違いなし!インプット・アウトプット黄金比|日経woman Terrace
繰り返し聴く
耳活を効果的なものにするためには、繰り返し聴くことも大切です。
耳活では、音声として流れてくる情報を順番に聴いていきます。従来の学習法のように、大事なポイントをその場で繰り返し読んだり、マーカーを引いて目立たせるということは、基本的にはしません。
そのため、一度聴きおわったら、もう一度…と一つの音声を繰り返し聴くことで、記憶の定着をはかる必要があります。
オーディオブックサービスの中には、再生速度を速くできる機能がついているものもたくさんありますので、時短しながら繰り返し聴くこともできるでしょう。
耳活におすすめのアプリやサービスは?
耳活の基本情報から効果的な方法まで紹介してきました。ここまでご覧になった方の中には「耳活におすすめのアプリやサービスが具体的に知りたい。」と思う方もいらっしゃるでしょう。
そんな方に向けて、ここでは耳活におすすめの人気アプリやサービスを紹介します。参考にしてください。
オーディオブックサービス
オーディオブックサービスは、最新の小説やビジネス書など、様々なジャンルの本を音声で提供しているサービスです。
日本国内で利用できるオーディオブックサービスはいくつかありますが、中でも利用者数が多く、2強といわれるのが、Amazonが提供する「Audible(オーディブル)」とオトバンクが提供する「audiobook.jp」です。
Audibleとaudiobook.jpを比較した記事を以下に載せておきますので、参考にしてみてください。
また、たくさんあるオーディオブックサービスのうち、自分に合うサービスがどれかわからないという方には、以下の記事もおすすめです。Yes・Noチャートで自分にぴったりのオーディオブックサービスを診断できますので、試してみてください。
Voicy(ボイシー)
Voicyは、多くのYouTuberやクリエイターなどが配信しているラジオ番組やトーク番組を、音声配信プラットフォームとして提供しているサービスです。様々なジャンルの番組が聴けるため、興味のある分野を探索することができます。
Podcast(ポッドキャスト)
Podcastは、ニュース・スポーツ・エンターテインメント・ビジネスなどの分野で、専門家やラジオパーソナリティが配信する音声番組のことです。日本でも、様々なPodcastが配信されており、聴きたいジャンルの番組を選ぶことができます。
iOSには「Apple Podcast」というアプリが標準でついており、Androidにも「Googleポッドキャスト」をはじめとするアプリがたくさんあります。また、上述したオーディオブックサービスの「Audible」でも一部ポッドキャストが視聴可能です。
Radiko(ラジコ)
Radikoは、ラジオ局の番組を聴けるサービスです。インターネットや携帯電話回線を利用して聴けるため、電波状況に関わらず、雑音のないクリアな音でラジオ放送を楽しめるというのが最大の魅力です。
今いるエリア内にある放送局の番組は無料で視聴可能です。また、有料プラン(ラジコプレミアム)に登録すると、どの地域からでも全国のラジオ局の番組が聴けるようになります。
YouTube(ユーチューブ)
YouTubeは、様々なジャンルの動画を提供しているサービスですが、音声として楽しめる動画も多くあります。例えば、さまざまな分野の講演を配信している「TED Talks」など、ビジネスや科学、人文などの分野で専門家が話す音声を聴くことで、耳活できるでしょう。
まとめ
耳活は、移動中や家事などの作業中に、オーディオブックやPodcastなどを聴くことで学びを深めることができる学習法です。
ながら学習により情報のインプット量を増やせる、目や体が疲れることなく学習できるなど、耳活には従来の学習法にはないさまざまなメリットがあります。
オーディオブックサービスやVoicy、Podcastなど、音声配信アプリやサービスはたくさんありますので、これらを活用して耳活による新しい学び方を始めてみてはいかがでしょうか。
▶︎Audibleの詳細はこちらから見られます ▶︎audiobook.jpの詳細はこちらから見られます